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玉蘭花の香り
第5章 もっと近くへ
食事が終わって、
「美香さんを送って来るよ」とロンが私と手を繋ぐと、
お祖父様がロンに何か早口の台湾語で話し掛けて、
皆がどっと笑った。

「なんて言ったの?」と訊くと、

「後で教えてあげる」と言って、頬にキスした。

「ご家族の前で…」と紅くなると、
今度はお父様が何かを言うと、
ロンが紅い顔で何かを言い返していた。

お兄様が、
「帰国はいつ?」と英語で訊くので、

「明後日です」と答えると、

「じゃあ、空港で別れるまで36時間一緒に居て愛し合わないとね?」と言われて、私はますます紅くなってしまう。

「でも、また直ぐに会える気がするよ。
弟をよろしく」と言って、
ロンの手から私を奪うようにして、
ハグして頬にキスをすると、

「まあ、ズルいわ!」と言って、
2人のお祖母様達も、私を抱き締めて、
「また直ぐに会いたいわ」
「待ってるわね」と、ハグして頬にキスをした。

そして、お祖父様も大きな身体を丸めて私をハグすると、
「説得に必要なら私も日本に行くからね」と言ってくださる。

更に、お父様が、
「私達は美香さんのことが大好きになったよ。
早く娘になってくれると嬉しい」と言いながら、
ハグしてから、額にキスをした。


「ほら!
美香さんを返して?」とロンが私の手を引っ張って、改めて抱き締めて両頬と額にキスをすると、

「じゃあ、36時間は電話しないでね?
おやすみなさい」と言うと、
私の手を引っ張って行こうとした。


私は振り返って丁寧にお辞儀をすると、

「今夜は楽しいひとときをありがとうございました」とご挨拶した。
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