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玉蘭花の香り
第1章 婚約
「着替えはあちらで」と言われて、
続きの間のような部屋を指さすと、
ロンは、足湯に湯を張り始めた。


私はそそくさと奥に入った。


淡い水色の絹のような手触りのラップスタイルの上着とハーフパンツのようなものが丁寧に畳まれて置いてあった。


「出来れば下着は外してください」と声を掛けられたので、
少し考えて、言われる通りにした。


ロンの処に戻った。

「こちらにお座りください。
脚を入れて…熱くないですか?」


「あっ…ちょっと熱いです」と言うと、何故かロンは顔を赤らめて少し水を足した。

湯から少し漢方的な香りがする。


足湯をしてる間に、
「少し肩の状態を見せてください」と言うと、
ロンは後ろに回って首と肩を丁寧に揉み始めた。
そして、肩甲骨の辺りまでをゆっくり押して確認すると、
「なるほど」と言った。


「えっ?」と言うと、
「ガチガチですね。酷い」と顔を顰めて言った。


足湯から脚を出すと、丁寧に両脚を拭いて、
左脚を少し熱い蒸しタオルで覆うと、更にバスタオルで包んでから、
右脚のマッサージを始めた。

時折、物凄く痛い箇所があって、
その度に悲鳴を上げるように、

「痛いっ!
あっ!
そこ、ダメ!!」と言っていた。

その度に、淡々と、

「そこは目。
肩。胃腸〜食べ過ぎてますか?」と、
悪い箇所を教えてくれる。


足裏だけでなく、リンパを流すようにふくらはぎなどを押されるのも痛くて、涙目になってしまった。


両脚終わると、
「多分、全身マッサージの時間を長めに取った方が良さそうだ」と言って、
隣にあるベッドにうつ伏せになるように言われた。
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