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フレックスタイム
第8章 ようやく披露宴
「もう、会社ではダメですよ?
お仕事に差し障りますからね?」と言うと、
翔吾さんは少しガッカリした顔をする。


私はティッシュで拭き取ると、
下着とシャツを整えた。

そのまま、そのティッシュを捨てるのが嫌で、
バッグの中の小さいビニール袋に入れて持ち帰って家で捨てることにした。


「今日は、会食も残業もないので、
早くお家に帰りましょう?
そして…ベッドで続きをしていただきたいの」と言って、
翔吾さんにキスをした。


パソコンを鍵の掛かるデスクに入れて、
予定を同期させたタブレットだけをバッグに入れて帰り支度をした。

阿部さんの車を呼んで、
2人で車寄せに向かって歩いてると、
トロリと液体が垂れるのを感じて、
「あっ…」と声が出てしまった。

「んっ?どうした?」

「あの…
翔吾さんのが垂れてきちゃって…」

「大丈夫?」

「多分…ショーツ履いてるから」と言ったけど、
耳が紅くなってしまった。

「さっきは大胆で淫乱だったのに…
百合、可愛い」と言って、
翔吾さんは耳朶にキスをした。


「もう!
会社でキスはダメです。
誰かに見られます」

「良いじゃない。
夫婦なんだからさ?」


そんなことを言ってると、
車が来たので乗り込んだ。


「今日はお早いお帰りですね?」

「阿部さんも、たまには早くお帰りくださいね?
いつもありがとうございます」と言った。


車の中では、
ずっと手を握っていてくれる。

あの事件以来、
私を奥に乗せて、
自分が先に出て、周りを確認してくれるようになっていた。

「秘書の座る場所ではありません。
翔吾さんが上座に…」と言っても、
翔吾さんは決してその場所には座ってくれなかった。

「秘書だけど、
その前に奥さんだから、
俺が守らなきゃいけないでしょ?」


阿部さんまで、
「そうです。
奥様は私まで守ろうとして…
勇敢でしたが、お怪我をされて、
私は生きた心地がしませんでしたから!」と言う。

2人にそう言われては、
大人しく言うことを聞くしかなかった。


家の前に着くと、
阿部さんがドアを開けて翔吾さんが降りる。
2人で周りを確認してから私を降ろす。

「2人ともSPみたいだわ?」と笑うと、
「百合は俺のお姫様だからね?
阿部さん、ありがとう。
おやすみなさい」と言って、手を繋いで家に入った。
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