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フレックスタイム
第9章 天使降臨
翔吾さんと私の早い帰宅を喜んでくれて、
みんなで食卓を囲んだ。

食後のお茶を飲んでいる時に、
翔吾さんがお母様とケンに静かに切り出した。


「百合に赤ちゃんが出来たよ。
今度の土曜日に病院に行ってくるけど、
ほぼ確定だ」

「まぁ!やっぱり!
そんな予感があったの。
百合さん、おめでとう!」

「赤ちゃんて?」

「ケンの弟が妹が出来たのよ。
マミーのお腹の中に居るの」

「ふーん」

ケンはあまり判っていないのか、
反応が鈍く感じた。

「一緒に遊べるの?」

「産まれてきて、少し大きくなったらね」

「赤ちゃん、小さいの?」

「そうよ。
ケンも小さかったのよ?」

「マミーは赤ちゃんのマミーなの?」

「そうね」

「じゃあ、ケンのマミーじゃなくなるの?」

見るとケンの瞳に涙が溜まっている。

「いいえ、違うわ。
マミーはね、
ずっと、ケンのマミーよ?
そして、赤ちゃんのマミーもするの。
だからちょっと忙しくなるから、大変でしょ?
だからね、
ケンは、赤ちゃんのお兄ちゃまになって、
マミーのことを助けてくれる?」

「それなら良いよ?
僕、良い子だから、
マミーを助けるよ。
赤ちゃんとマミーを守れば良いんでしょ?」

「あらあら、
グランマのことは守ってくれないの?」

「うーん。
僕、忙しくなっちゃうよ?
グランマはダディが守れば良いんじゃないな?」と言うので、
みんなで笑ってしまう。


「そうよね?
ケン、忙しくなっちゃうわよね?」と言って、
ケンを抱き締めた。

「じゃあさ、
僕、頑張って守るから、
ちょっとだけ、チョコレート食べても良い?」と、
ケンは恥ずかしそうに言った。

「あら!
そうね。
今日は素敵な発表をした日だから、
一欠片だけ、みんなで頂きましょうか?
私、コーヒー淹れるわね?
ケンとマミーはホットミルクにしましょうね?」と言って立ちあがろうとすると、
「コーヒーは俺が淹れるよ?」と翔吾さんが言う。

「まあ、優しいこと!
わたくしもホットミルクにしようかしら?」

「吹きこぼすといけないので、
ミルクは私がしますね?
翔吾さん、コーヒーだけ、淹れてくださいね」と言った。


そして、みんなでご褒美を頂くような感じで、
一欠片ずつ、
チョコレートを口にした。

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