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フレックスタイム
第12章 予期せぬ来客、そして…
そんなことがあってから、
更にあっという間に年月が過ぎてしまった。


ケンは翔吾さんの、
そして私の母校でもある大学に入学が決まった。


レンとシンも、
ケンの後を追い掛けるように同じ学校に通学していた。


私は家では王子か騎士に囲まれて護られている姫のようだったが、
会社では系列の子会社を立ち上げて社長をしていた。
フレックスタイムではないけれど、
リモートワークも取り入れながら、
海外出張もこなしていた。


そして、翔吾さんは…
相変わらずたくさん、私のことを愛してくれている。

シンの出産の後、
帝王切開でのこれ以上の出産は私の負担になるという話を聞いて、
私に内緒で、パイプカット手術を受けていた。


そのことを聞いて、
本当に驚いてしまったけど、
子供みたいな顔で笑いながら、

「ほら、それなら妊娠の心配もなく、
生で出来るでしょ?」と言った。


それで、今でもたくさん、愛し合っている。


子供達が居ても、
ハグしてキスをするので、

「やれやれ」という顔をされることもあるけど、
仲良くしていることを見せるのは悪くないと翔吾さんが強く主張するので、そうしている。


ケンは時々、
私の手の傷を見て、
辛そうな顔をすることもあったけど、
これは私の勲章でもあるし、
家族の絆を深めたものだと言うことを繰り返し話していた。


同じことがあったら、
躊躇わず私は同じことをするし、
その立場だったら翔吾さんもそうしていると思う。
そして、ケンもそうするとも…。



ケンは、
「マミーは凄いよ。
運動神経ないのに、あんなことしてさ」と言う。

そして、
「マミー以上の女の子なんて、
居ない気がする」とも言う。


その度に、
「そんなことないわ。
私は、ダディが私のことを見つけてくれてなかったら、
多分、今でも誰とも話もしないで、
フレックスタイムで翻訳や通訳するだけで、
会社と家を往復するだけのつまらない孤独なヒトだったと思うわ。
ダディに会えたから、
こんな風になれたのよ?
ケンもいつか、素敵な女性に会えるわ。
ケンのマミーになれたのも、
とても幸せなことだったの。
ケンが初めて私をマミーって呼んでくれた日のこと、
今でも覚えてるのよ?」
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