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フレックスタイム
第1章 午前7時の女
ビルの外の車寄せにハイヤーが止まっていた。
ドアが開くと、4歳くらいの男の子がちょこんと座ってて、
「ダディ、まだなの?」と英語で言う。
社長は、
「今日は仕事で一緒に行けないから、
このお姉さんと一緒に行ってきて?
佐藤百合さんだったよね?」と訊かれて、
「はい。佐藤百合です。リリィって呼んでね?」と、
マスクを外して社長のご子息に英語で答えた。
「じゃあ、ケン、行っておいで!
帰りも佐藤さんに迎えに行って貰うから。
3時頃だよね?」と言うと、
私を車に押し込めて、手を振ると、
社長は会社の中に走り去ってしまった。
ケンは私の手をギュッと握ると、
少し涙目になってる。
「どうしたの?」と訊くと、
「マミーは居なくなったし、
ダディも忙しいし、
ナニーは病気になった」と英語で言うと、
本当に泣き出してしまう。
えっ?
なんか、事情が飲み込めないぞ。
そう思いながら、
「3時にお迎えに行けば良いのね?
そしたら、何して遊ぶか、
考えておいてね?」
と言うと、
「えっ?
リリィ、僕と遊べるの?」と、
私の顔を覗き込んで嬉しそうに言うので、
「ケンは何して遊ぶか考える係ね?
私は、オヤツ用意する係よ。
OK?」と言うと、安心したような顔をした。
幼稚園に到着した。
守衛さんは、私の頃と同じ人で、
ちょっとびっくりしたけど、
すっかり歳を取った守衛さんも驚いていた。
「あれ?百合ちゃん?
久し振りだね。
結婚したの?」と言われたので、
「違います。
会社のボスのご子息なんです。
お手伝いさんの代わりに今日は送り迎えです」と答えた。
「先生方はすっかり顔ぶれ、変わっちゃったけど、
園長先生は同じだよ」と教えてくれた。
懐かしいけど、ひとまず送り届けて仕事に戻らねば!と思った。
「リリィ、キスは?」とケンが言うので、
ほっぺにキスして、先生にケンを預けて、
「また、お迎えに来るね!」と手を振った。
ケンが何度も振り返るので、
室内に入るまで見送ってから、
マスクをして車で会社に戻った。
既に社長は、社長専用に会議室に入ってしまっていたので、
社内のチャットツールで、
「送り届けて来ました。
15時にお迎えに行った後は、
何処に連れて行けば良いですか?」とチャットしてみたけど、
既読にもならないまま、15時になってしまった。
ドアが開くと、4歳くらいの男の子がちょこんと座ってて、
「ダディ、まだなの?」と英語で言う。
社長は、
「今日は仕事で一緒に行けないから、
このお姉さんと一緒に行ってきて?
佐藤百合さんだったよね?」と訊かれて、
「はい。佐藤百合です。リリィって呼んでね?」と、
マスクを外して社長のご子息に英語で答えた。
「じゃあ、ケン、行っておいで!
帰りも佐藤さんに迎えに行って貰うから。
3時頃だよね?」と言うと、
私を車に押し込めて、手を振ると、
社長は会社の中に走り去ってしまった。
ケンは私の手をギュッと握ると、
少し涙目になってる。
「どうしたの?」と訊くと、
「マミーは居なくなったし、
ダディも忙しいし、
ナニーは病気になった」と英語で言うと、
本当に泣き出してしまう。
えっ?
なんか、事情が飲み込めないぞ。
そう思いながら、
「3時にお迎えに行けば良いのね?
そしたら、何して遊ぶか、
考えておいてね?」
と言うと、
「えっ?
リリィ、僕と遊べるの?」と、
私の顔を覗き込んで嬉しそうに言うので、
「ケンは何して遊ぶか考える係ね?
私は、オヤツ用意する係よ。
OK?」と言うと、安心したような顔をした。
幼稚園に到着した。
守衛さんは、私の頃と同じ人で、
ちょっとびっくりしたけど、
すっかり歳を取った守衛さんも驚いていた。
「あれ?百合ちゃん?
久し振りだね。
結婚したの?」と言われたので、
「違います。
会社のボスのご子息なんです。
お手伝いさんの代わりに今日は送り迎えです」と答えた。
「先生方はすっかり顔ぶれ、変わっちゃったけど、
園長先生は同じだよ」と教えてくれた。
懐かしいけど、ひとまず送り届けて仕事に戻らねば!と思った。
「リリィ、キスは?」とケンが言うので、
ほっぺにキスして、先生にケンを預けて、
「また、お迎えに来るね!」と手を振った。
ケンが何度も振り返るので、
室内に入るまで見送ってから、
マスクをして車で会社に戻った。
既に社長は、社長専用に会議室に入ってしまっていたので、
社内のチャットツールで、
「送り届けて来ました。
15時にお迎えに行った後は、
何処に連れて行けば良いですか?」とチャットしてみたけど、
既読にもならないまま、15時になってしまった。