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フレックスタイム
第3章 秘書室の女
オヤツにクッキーを焼いて、庭のテラスで食べてから、
ケンは蟻さんを探すと言って庭を走り回った。

リリィも探して?と言うので、
「木の下の、土がある処を探してみましょう」と言って、
あちこち探したら、赤土の処に蟻の巣を見つけてケンが物凄く喜んだ。

「クッキー、少しだけあげたら?」と言うと、
お皿から小さいカケラを持ってきて、
そっと置いた。

一生懸命運ぶのを見ていると、
「自分より大きいのも運べるんだね?」と、
ケンは驚きながら呟いた。


「ホントね!
絵本とかで虫のもの、持ってる?」と言うと、
「絵本、探してみようか?」と、私の手を引っ張る。


寝室の端に、
ケンのオモチャと絵本が置いてあるコーナーがあるので、
2人で座り込んで、
一つ一つ手に取って絵本を見た。


イソップ童話があったので、
「アリとキリギリス」のお話を一緒に読んだ。


「夕食、何が食べたい?」と訊くと、
「カレー!」と言うので、
あり合わせの野菜と前日、冷凍庫から持ってきた鶏肉で、
カレーを作った。
ケンもお野菜を切るのを手伝ってくれた。
取り分けて辛いのも念のために作っておいた。

社長は夜はパーティー出席だったはずなので、
ケンとお風呂に入ってから夕食を食べた。


そして、ケンとベッドに横になって、
土曜日にケンが選んだ絵本を2人で読んだ。
いつのまにか、2人で眠ってしまった。


夜、遅くに社長が帰宅した音で、
私は目を覚まして、
ちょっと寝惚けながらリビングに行った。


「お夕食は食べれました?」


「パーティーだから、あんまり食べてない。
お酒は飲んだよ?」と言うので、

「カレーだったらすぐに食べれますけど?」と言うと、

「家のカレーなんて、何年振りかな?」と、
嬉しそうに言うので、

「先にお風呂、入ってきます?
温めておきますから」と言うと、

「そうさせて貰うよ」と言って、
バスルームに向かった。


カレーを温めて、ご飯少なめにして、
目玉焼きを作ってカレーの上に乗せた。

ブロッコリーの上にカリカリに焼いて小さく砕いたベーコンを振りかけて、プチトマトと一緒にサラダ代わりに添えた。


「美味しそうだな?
いただきます」と言って、
嬉しそうに食べ始めた。

私は温かい焙じ茶を淹れて、食べるのを見てた。
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