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トパーズ
第12章 長いお別れ
先生は、再び昏睡状態になってしまう。
慌ててしまうと、
山田くんがナースコールを押して、
様子を伝えてくれる。


バタバタとお医者様と看護婦さんが入ってきて、
処置をする。


お母様に対して、
お医者様が何かを伝えているけど、
私には何も聴こえなかった。



後ろの簡易ベッドにもなるソファに座らされて、
呆然としていた。

バタバタと更にお医者様や看護婦さんが増えて行く。


隣にお母様が座って、

「もう、頑張らせなくて良いわよね。
大好きな麻衣子ちゃんに会えたから…」と言って、
私を抱き締めてくれる。

ふんわりと純一さんと同じ香りがするような気がした。



16時58分…


お医者様が時間を告げる。


先生は眠っているようで、
まだ暖かいのに…
呆気なくあちらに旅立ってしまった。


長いお別れ…

また、会えるまでのお別れ…?


ううん。
黒田先生は眠っているだけ。




平坦になったモニターを外され、
色々な管も抜かれていく。


その後、私は何をしていたかも覚えていなかった。
その後、何をしていたかもぼんやりしていた。
どうやって帰ったのかも判らない。


先生の葬儀?
そんな筈はない。

白いお花に囲まれているのは、
先生に似た、知らない人。

葬儀のような会場…
そこに座っているのが自分だったとも思えない。



気づいたら4月になっていた。
桜は満開になり、
そして散っていったけど、
時間の流れも良く判らなかった。



大学入学の為の引っ越しや手続きもしたつもりはなかったけど、
気づいたら札幌市内の広いマンションに、
山田くんと暮らすことになっていたようだった。

でも、そんな自覚もなかった。


東京の自分のマンションで、
みんなと暮らしているように感じていた。

そして、たまたま、
黒田先生は学校に行ってて、
いつも不在なだけだと思っていた。



待っていたら…
戻って来てくれる。

いつもそう思っていた。



何かを思い出そうとすると、
暗い闇に呑み込まれてしまうような気がして、
目を閉じてしまう。

何も聴こえない。


暫くすると、
いつも山田くんが私をそっと、
或いは強く抱き締めていてくれて、
そっと心臓の音を聴いていた。


私…。
何してるんだろう。
考えてると、また、暗闇に包まれる。


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