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トパーズ
第13章 生まれ変わる
季節は過ぎていったけど、
私はぼんやりした気持ちで過ごしていたようだった。

山田くんに促されるまま、
一緒に学校に行ってノートを取る。
先生に指名されると、
教科書を読んだり答えたりする。

そんなことをしていたら、
夏休みになった。


「夏休みになったら、
純一さん、帰って来るよね?」

私は呟いてみるけど、
違和感を覚える。

「忙しくて、帰って来れないんだっけ?
ん…。
頭、痛い」

気づいたら涙が出ている。


山田くんは、優しく抱き締めてくれて、
頬に頬を当てる。

私の頬に山田くんの涙が落ちてくる。


「岳人さん、どうして泣いてるの?
あれ?
私もどうして泣いてるのかしら?」


目を閉じて、
思い出そうとする。


機械的な音が…
ピーっと、平坦になる。


16時58分…


そう。
そんな声が聴こえた。


「もう、頑張らせなくて良いわよね?」
先生のお母様が言った。


頑張らせなくても…?


私はゆっくり目を開いた。


「16時58分…
16時58分…」


「えっ?」


焦点が定まらなかった目が、
山田くんの顔で止まった。


「16時58分に、
純一さんは息を引き取ったのね」


山田くんは息を呑むと、
ゆっくり頷いた。


「私…ずっと信じられなくて…
信じたくなくて…」

震えながら泣いている。


「泣くこともしないで、
何してたのかしら?」


私を抱き締めて、
背中を撫でてくれる。


「私…なんだか眠い…」


「うん。
寝よう。
一緒に寝よう。
明日は、ミラノが来るって言ってたから、
空港まで迎えに行こうね?」


「ずっと、夢を見てたみたい。
私…どうしちゃったの?」


「明日、話をしようね?
とにかく、眠ろう。
腕枕、させてくれる?」


山田くんは、
手を繋いで寝室に連れて行ってくれる。


「おやすみ。
麻衣子さん…」
と、額にキスをすると、
すっぽりと私を包み込むようにして、
2人で眠った。


私はずっと、
山田くんの心臓の音を聴いていた。



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