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トパーズ
第16章 パリへ
パリに行く前に、
山田くんの実家…正確には同じ敷地にあるお祖父様達が住む本宅にご挨拶に行くことになった。


優雅なお祖母様は、
365日着物で過ごしている私の祖母とは雰囲気が違う、
華やかなワンピースを着た美人でモダンな方で、
お祖父様も背が高くてダンディな方。


古びてはいるけれど丁寧に手入れされている洋館の客間で、
アフタヌーンティーのような様子の顔合わせになった。


鎌倉から祖母が付き添いにとついて来てくれた。
髪をきっちり結い上げて、
一見したところ、とても地味に見えるけど、
人間国宝のが絵付けした茶屋辻模様の一つ紋の絽の訪問着に、
紗の夏物の袋帯を合わせて、
背筋がしゃんと伸びていた。

落ち着いて控えめな、
自慢の祖母だ。


私は祖母に、
駒絽地に秋の草花が手描きで美しくされている小振袖に、
夏帯をふくら雀に結んで貰った。


「まあまあ、こんなに髪を切ってしまって、
男の子みたいで…」と久し振りに会った祖母に笑われてしまった。


「本来でしたら、こちらからご挨拶に行くべき処、
脚をお運びいただきまして…」と、
お父様が言うと、

「いえいえ。
こちらはこの子の母親はフランス在住ですし…。
それより、まだ18歳ですし、
このようなご立派なお家に嫁入りさせるような家ではございませんのよ?」と、ゆったりと言われて、
反対されてるの?と、少し動揺してしてしまう。


「うちの1人きりの孫が、ベタ惚れでしてね?
こんな可愛いお嬢さんだと、
誰かに拐われてしまうのも心配なんでしょう」と、
お祖父様が言う。


「それに、同じ医学部。
すぐにとは申しませんし、
2人もやりたい仕事もあるでしょう。
幸い、義父も僕もまだまだ現役ですが、
遠い将来に2人でこの病院を継いでくれるなら、
それに勝る喜びはありません」


私はそっと山田くんを見ると、
はにかんだ笑顔を見せる。


「僕は出会った時から麻衣子さんに惹かれていて、
これからも一緒に歩んでいきたいと考えています。
大切にして、お守りします」と山田くんは頭を下げた。


「まあ、王子様が頭を下げてはいけないわ。
うちのお転婆な孫は、
お姫様という柄ではないですし、
きちんとお嫁様が務まるかも…。
学校辞めさせて、
私の処で花嫁修行させたいほどです」と、
私を見て、
茶道のお稽古の時の顔で笑う。





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