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トパーズ
第3章 ジャズ同好会
翌週、ミラノが部長、私が副部長、黒田先生を顧問にして、
ジャズ同好会開設の届出を出した。

とはいえ、音楽室は吹奏楽部とマンドリン部が交互に使っているので、
学校での練習はもっぱら放送室を使った。
楽器は、カホンとエレベとキーボードで、
軽い練習をするか、
私の家の防音ルームを使った。


練習には、ミラノのクラスメイトの男子が聴きに来ていた。
彫刻みたいな綺麗な顔だけど、
無口で殆ど話さない。
話し掛けても紅くなるし、
ミラノとしか話さないから、
これはミラノのことが好きな男子なんだなと思った。

山田くんっていう名前だった。
放送委員だったというけど、同じ曜日になったことはなかったのか、
覚えていなかった。


「山田くん、何か楽器は?」

「ギターなら。
ガットギターだけど…」と、つまらなそうな顔で言う。

「ふーん」

「こいつ、クラシックギター、幼稚園くらいからやってたんだよ。
すんごい上手いんだ」

「じゃあさ、ボサノバとか、弾けるんじゃないかな?」と言って、
「家に譜面あるから、持ってきたら弾いてみない?」と言ったら、
すごくぶっきらぼうに、
「音源聴けば弾けるよ?」と言う。

「そうなの?」って言って、
携帯の中にある音源探して、

「これ、聴いてみて?」と、
アントニオ・カルロス・ジョビンの曲を聴かせてみた。

目を閉じながら聴いている顔は、
本当にギリシャかローマの古い彫刻みたいだと思った。


暫くして目を開けると、
「ちょっとマンドリン部のヤツにギター借りてくる」と言って放送室から出て、程なく戻ってきた。

新入部員が体験入部の時に使っているらしい、
ボロボロのガットギターをチューニングして、
ミラノにキーを言った後、
念のためにとコードだけの譜面をサラサラと書いて渡して、

「斎藤さん、カウント出して?」と言った顔は、
びっくりするほど物静かなくせに精悍だった。


誰でも知ってる『イパネマの娘』を、
山田くんのギターと私のキーボードで演奏を始めて、
そこにミラノのベースと先生のカホンが加わった。

思わず、気持ち良くなってしまって、
途中から弾くのをやめて、
ポルトガル語で歌い出してしまった。


演奏が終わった後、
なんかみんなで拍手をしてしまった。


「山田、入部決定な?」とミラノが言った。
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