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トパーズ
第4章 キス以上のこと…
時差を考えながら、母に電話をして、
学校の成績が全て10位以内になったから家庭教師はもう必要ないということを伝えた。

「私が言っても聞き入れて貰えないと思うから、
雇用主のママから先生に伝えて欲しい」と言った。


それで、山本先生は家庭教師には来なくなって、
勿論、電話も来ることはなかった。

一時的な感情だったんだろうし、
好きとか待ってて欲しいっていうのも、
そんなに深い気持ちではなかったんだろうと思った。


それでも、習慣になっていたせいか、
毎週金曜の夜に、
私の家に集まって練習をする。
夕食も一緒に取って、
そのまま合宿のように雑魚寝することは続いていた。


理系科目も、ミラノや山田くんに習えたし、
逆に文系科目を私が教えることも出来た。


ジャズバーの演奏も、
隔週の土曜日に出来るようになった。
定期試験と前はお休みさせて貰う。

インストルメンタルの夜と、
私のボーカルのを、交互に入れることになった。

固定客の方も増えて、
投げ銭のBOXには毎回結構なお金が入っているようだった。

でも、最初にお話しした通り、
コースターや名刺に書いた感想だけ持ち帰り、
お金はマスターさんにお渡しするようにしていた。

かなりのお年のマスターさんを手伝って、
フードやドリンクを私達が運ぶこともあった。

孫のよう私達を可愛がってくれて、
音楽的なアドバイスもくれたり、
音楽業界の人を紹介してくれることもあった。


「麻衣子ちゃんが運んでくれると、
注文がいつもの2倍以上になるな」と喜んでくれるのも嬉しかった。



山田くんにギターも習い始めた。
ギターデュオでボーカル出来るようになれないかなと思ったからだった。
教え方が思いの外、丁寧で上手かったけど、
演奏には厳しかった。
涙が出ることもあったけど、
悔しくて物凄く練習した。


秋になって、文化祭の話が出ていた。
教室借りて、
ジャズ喫茶をやって演奏しようという話で盛り上がっていた。


そして、地道にこっそり通っていたバイクの免許も取れた。
見た目でイタリアのスクーターを買おうと思って、
カタログを取り寄せたりして、
それを読むのが楽しかったりもした。

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