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トパーズ
第10章 戦闘準備
起きた時にはもう先生は居なかった。
薬を飲んでたからなのか、
時計を見るともう9時を回っていた。


リビングに行くと、
山田くんが顰めっ面で勉強をしていた。


「おはよう。
昨日より顔色、少し良くなったみたいだね?」


「心配掛けちゃって、ごめんなさい」
と言いながら、キッチンに入ってお湯を沸かし始めた。


ケーキ皿やカップは洗われて片付けてあった。
食べ残しのケーキや花も、
2人が処分して片付けてくれたんだろう。


「焙じ茶飲む?」と声を掛けると、

「ありがとう。いただくよ」と答える。


マグカップをトレイに載せて運んで、
そっと置くと、
山田くんは手首にそっと触れて撫でてくれる。


「大丈夫。
痣も傷も治って消えていくから」と笑ってみせる。

笑いながら、涙が勝手に溢れてしまう。


「あれ?
涙腺、おかしくなってるのかな?
なんか、勝手に涙が…」


山田くんは、立ち上がってそっと抱き締めて、
「無理して笑わなくて良いよ」と背中を撫でる。


そのまま、暫く涙が止まるまでじっとしていて、
「もう大丈夫だよ?」と身体を離すと、
山田くんまで泣いていて、びっくりしてしまった。


「やだ。
岳人さんまで泣いてるの?」と言うと、


「自分も同じようなこと、されたからね」と、
袖で涙を拭った。


「えっ?」


「でも、乗り越えられそうかな?
家を出れたし、
友達も出来た。
それだけでも天国だよ」と静かに笑った。


「同じようなこと?」


「…うん。
でも、まあ、妊娠するわけでもないし、
女の子ほど、傷は深くないから」と言いながらも、
物凄く哀しい目をしている。


私の方から、
ギュッと強く抱き締めて、

「岳人さんは強くて優しいのね?
泣いても良いのに」と言った。


暫くそうしてたら、
立ち眩みがしてしまった私は、
崩れ込むように座り込んでしまう。


「麻衣子さん、大丈夫?」


「貧血かな?
なんか、真っ暗…」
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