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そぶりをやめて
第14章 入籍13日前
そのうち3枚は、たなっちが選んだやつだ。
テーブルがさほど広くないのと、真ん中に飛沫防止のパネルが置いてあるから、デザート皿が1枚佳佑側に越境してきてる。
「えー」
3つもデザート頼んどいて、不服そう。
しかも、佳佑のガトーショコラを1口どころか、がっつりフォークで持っていきながら。
「うそうそ。どうぞどうぞ」
ケラケラと笑ってる。
一瞬ビビったわ。
固めのプリンにフォークを突き刺す。
プリンは程よく甘くて。上にかかってるカラメルは思っていた以上に苦味があって。大人のプリンだ。
ガトーショコラより、こっちのが美味しい。
「こっちのタルトも美味しいよ。どうぞ〜」
フルーツがら色々乗っていたハズのタルトが、ぬっと差し出された。
もう上にはほぼフルーツは乗ってなくて、残骸といってもいいほど少しだ。
いつの間にか、美味しかったプリンと交換させられる。
「え」
「うまっ!このプリンうまっ!」
ぱくぱくっとプリンが無くなってゆく。
「ちょ、はやっ」
「ん?」
プリンどころか、もうひとつの皿の上にあったはずのケーキももうない。
何のケーキだったか思い出されないほど。
「いやぁ、美味しかったわ〜」
たなっちは、食べ尽くして満足したのか、カフェラテをのんびり飲んでいる。
ソファーの上に、マグカップを持ったままそっくり返ってる。
細い体のどこに、あのケーキ達が入っていったのか不思議だ。
佳祐も残されたケーキを、胃に片付ける。
ガトーショコラのビターな感じが、少し重い。
もう食事も終盤で。
いくらなんでも、そろそろ話を切り出さないとヤバい。
「今日、こっち帰ってきたのはさ」
話し始めると、ソファーの背にもたれていたたなっちが姿勢を正した。
周りを見渡して、店員さんが近くにいないのを確認する。
隣のテーブルは、感染対策なのか、空いているし。
「結婚、しようと思って」
「あ、そうなんだ。...おめでとう」
法律相談でなかったからか、たなっちが少し拍子抜けの顔をしている。
「...たなっちと」
どんな顔をするかと身構えたが、さっきの拍子抜けのままだ。
無言がつづく。
「...え。ごめん。聞こえなかった。誰とだって?」
カップを布製のコースターに乗せた。
テーブルの上に腕組みした手が乗って、身を乗り出してきた。
テーブルがさほど広くないのと、真ん中に飛沫防止のパネルが置いてあるから、デザート皿が1枚佳佑側に越境してきてる。
「えー」
3つもデザート頼んどいて、不服そう。
しかも、佳佑のガトーショコラを1口どころか、がっつりフォークで持っていきながら。
「うそうそ。どうぞどうぞ」
ケラケラと笑ってる。
一瞬ビビったわ。
固めのプリンにフォークを突き刺す。
プリンは程よく甘くて。上にかかってるカラメルは思っていた以上に苦味があって。大人のプリンだ。
ガトーショコラより、こっちのが美味しい。
「こっちのタルトも美味しいよ。どうぞ〜」
フルーツがら色々乗っていたハズのタルトが、ぬっと差し出された。
もう上にはほぼフルーツは乗ってなくて、残骸といってもいいほど少しだ。
いつの間にか、美味しかったプリンと交換させられる。
「え」
「うまっ!このプリンうまっ!」
ぱくぱくっとプリンが無くなってゆく。
「ちょ、はやっ」
「ん?」
プリンどころか、もうひとつの皿の上にあったはずのケーキももうない。
何のケーキだったか思い出されないほど。
「いやぁ、美味しかったわ〜」
たなっちは、食べ尽くして満足したのか、カフェラテをのんびり飲んでいる。
ソファーの上に、マグカップを持ったままそっくり返ってる。
細い体のどこに、あのケーキ達が入っていったのか不思議だ。
佳祐も残されたケーキを、胃に片付ける。
ガトーショコラのビターな感じが、少し重い。
もう食事も終盤で。
いくらなんでも、そろそろ話を切り出さないとヤバい。
「今日、こっち帰ってきたのはさ」
話し始めると、ソファーの背にもたれていたたなっちが姿勢を正した。
周りを見渡して、店員さんが近くにいないのを確認する。
隣のテーブルは、感染対策なのか、空いているし。
「結婚、しようと思って」
「あ、そうなんだ。...おめでとう」
法律相談でなかったからか、たなっちが少し拍子抜けの顔をしている。
「...たなっちと」
どんな顔をするかと身構えたが、さっきの拍子抜けのままだ。
無言がつづく。
「...え。ごめん。聞こえなかった。誰とだって?」
カップを布製のコースターに乗せた。
テーブルの上に腕組みした手が乗って、身を乗り出してきた。