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そぶりをやめて
第4章 1ヶ月と3日
「はい。カメラを意識しない〜。普通に話をしてください〜。少し動いてもいいですよ〜」

ウエディング・フォトのカメラマンさんが、『自然な2人を撮る』というコンセプトらしくて、さっきから注文が激しい。

そうは、言われても。

2人目が合って、苦笑いする。

佳佑は、白いシャツに光沢のあるグレーのベスト。
よく見ると少しパツパツだけど。貸衣装なので仕方ない。
その辺は写真の修正でなんとかしてくれるだろう。

汐里もウエディングドレスではないが、白っぽいドレスを着ている。
こっちは、ゆとりが充分。
一応目立たないのを選んだつもりだけど。

互いの着慣れてない服装は、写真のためとはいえ、こっ恥ずかしい。


しかも、普通に話をしていろ、と言われても、何を話せば。

この1ヶ月ほどの土日は、新しい生活なのもそうだが、コロナ禍もあって、ほぼ2人で一緒にいる。
話をすることなんて、特に思いつかない。

自然にって、注文されてるポーズの数々が、めっちゃ不自然な気がするのだけど。
さっきなんか、芝生の上に2人で寝転んでと言われた。
その前は、少し高い丘の上で手を繋いでジャンプとか。

それに比べたら、手を繋いで切り株の上で並んで座って話をするぐらいなんてことはない。

しかし、何のハナシをすればいいやら。

繋いだ手が照れくさくて、軽く振り回す。

「...この後さ」
「おー」
「また、あのカフェに行こうよ。なんて名前だっけ...」

2週間前に、佳佑が来たがったレストランの系列カフェ。
古民家を小洒落た和風カフェに改装してて、名前がなんかフランス風のー。

「トレフル・ブラン?」
「そう、それそれー!何度聞いても、覚えらんないんだよねー」
「そうか〜??」

笑いながら佳佑の、繋いでないほうの手が伸びてきた。
汐里の頭にさっき寝転んだ時の芝生でも付いていたのだろうか、優しく払ってくれている。

よく見ると、佳佑も肩のあたりが芝だらけだ。
2人で付いた芝を払い合う。


どうやら、求めていた程よい会話と動きだったらしい、遠巻きの芝生の上に転がるようにしてカメラマンが「いいね〜!!」とか言っている。

2週間前に来たそのトレフル・ブランというカフェで、このウエディング・フォトの存在を知った。
そして、ラッキーなことに、2週間後の今日の日のキャンセルがあって空いているということも。
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