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そぶりをやめて
第22章 3815日
40歳になった、今から5年前。
急に佳佑がスポーツジムに通いはじめ、本格的に体を鍛え出した。

3年前に家を建てた時は、リビングの一角に狭いが筋トレルームを作るほど、筋トレにのめり込んでいる。

今では、腹筋はもちろん浮き上がり。
10年前には全く姿が見えなかった鎖骨が現れ、水が溜まるほどになっている。

あまりのハマりっぷりに、スポーツジムに通い詰めている当時は浮気でもしてるのではと疑った。


ちょうどその頃は、4歳と2歳の2人の男の子を育てていたところで。
いくつ手があっても足りないからと早く帰ってきて欲しい汐里と、以前通り朝の家事はしてるんだからと仕事終わりのジム通いを辞めない佳佑で、しょっちゅう喧嘩になった。

半年ほど喧嘩が続いて、夜の生活もなくなって。
流石にこのままでは本末転倒だと思った佳佑が、実はと秘密を打ち明ける。

「仕事で疲れてる」とか「風邪気味だから」とか言い訳してきていたが。
40歳が近付いて、明らかにそっちの体力が落ちてきた。
3人目を欲しがった汐里の求めに、対応できなくってきていて。

その時同期に「鍛えたら、若い頃のようになる」と聞いた。
実際その同期の成果を聞いて、俄然ヤル気になったー。

「えー。本当なの?」

ジム仲間と浮気だと思っていた汐里には、にわかに信じがたかった。

「まだジムに通って1年経ってないけど、体変わったと思わない?」

子育てに追われて、そんな気が回ってない。

3人目が欲しかったけど、育児に非協力的な佳佑を見て、すっかりそんな気は無くなっていた。

「...試してみる?」
「は?」

試すって何を?と首を傾げる汐里が、ひょいっとお姫様抱っこされる。
さっきまで怒っていたのに、力強く軽々と持ち上げられて、不覚にも胸がときめいた。

2人産んだ汐里は、その時かなり重量があった。
それなのに、そのままベッドにすいっと運ばれた。

「筋トレが本当に効果あるか、俺も知りたい」

そう言って久しぶりに体を重ねて。
また半信半疑だった汐里も、その後飛び出したモノを目にして理解し。
2人で、効果を十二分に実感することになった。


それから、筋トレルームを備えた家を建てたことによって、ジム通いをやめて、今では2人で体を鍛えている。

その成果は、40半ばとは思えない、今の夜の生活に繋がっている。
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