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そぶりをやめて
第22章 3815日
確かに、蚊帳が初体験で。

住んでる街より標高が高く、暑苦しいほどではなかったが、エアコンが無いのは流石に暑くて。
塀もあるし、何より蚊帳ってそういうモノでしょ。
と、初めてすぐに窓を大きく開け放った。

それらもあって、かなり気分がアガって...。

それにしても。

「この歳になっても、こんなヤってるとは思わなかったな...」
「ははっ。確かに」

ぽろりと本音が汐里の口から零れて、佳佑が笑う。

特に結婚当初、この10年後は全く予想してなかった。

結婚したのが遅かったのもあるし。
ラブでなくて、かなりライトなライクで結婚したってもある。

義務でしか無かったセックスに、こんなにのめり込んで。
しかも、出産も育児も、そして喧嘩だってしながら10年も経って。
十分中年のおっさん、おばさんと呼ばれる年齢になったというのに。

「でもさ。きっと20年後も、30年後もヤってるよ」
「えっ。まさか。30年後って、65だよ?」

いやいやいや。

「俺は今から30年後でも、ヤってると思う。ってか、頑張る」

何を頑張るんだ。

75って。流石にそれはないんじゃ...。
いくら筋肉つけて、体力つけても、限界ってものが。
佳佑はイケても、それを受け入れる自分の体のほうも心配だし。

「...何見てんの?やだ、エッチ〜」

ついついお湯の中の佳佑を覗き込んでいて、それに気付いた佳佑が
が隠すように湯船の中でくねってる。

「...元気だね」

呆れたようにそう言ったのに、佳佑が嬉しそうに近づいてくる。

「え?それは、お誘いかな?」
「違いますー」

汐里とは浴槽の反対側にいた佳佑が体を起こすようにして近づいてきて、隅に追いやられる。

「ちょっ、せまいっ」
「そんな風に入ってるからじゃん」

長方形の湯船に反するように窓を向くように座っていた汐里の体がそのまま引き寄せられ、背中を預けるように佳佑の胸に包まれる。

「ちょっと!」
「大丈夫だって。もうシないって」

そうは言っても、なんかお尻に軽く当たってるんだけど。

「汐里がシたいって言わない限り...」
「言いません」

被せ気味に言い切ったのに、それさえも嬉しそうに後ろで笑ってる。

仕方なく、佳佑に体を預ける。

ほどよく筋肉がついた佳佑の体は、確かに嫌いじゃない。

家のお風呂もたまにこうやって入ってる。
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