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そぶりをやめて
第10章 160日 〜その2〜
起き上がりたくなかったが、汐里もベッドから降りて、いくつかの南国風のクッションをソファに移動させる。
いくらなんでも数が多すぎで、こんなにあったら眠れない。

整えてあるシーツをめくって、その間に滑り込む。

上にかかってる飾りの布は、南国風でゴワゴワしてそうだっだが、
さすがにシーツは普通のやつみたい。

おそらくコテージのと同じだろう。
肌にとろりと纏わりつくカンジが心地よい。

パジャマじゃなくて、素肌で寝るとなんとも言えない心地良さだった。

枕元の両側にある縦長の照明が消されたからか、テント内が随分暗くなった。

それでも、入口近くの小さなライトがまだいくつか残って居るようで、まだ真っ暗ではない。

佳佑がベッドに戻ってきた。

「えー、もうちょっと消さない?」

汐里は、真っ暗でもいいぐらいなのだけど。

「んー?せっかくだからさ、このぐらいがイイかなって」

せっかくって何だ。

せっかくバリ風ライトなのに?

寝入りかけながらそう思っていると、ベッドの端から佳佑がするすると移動して、汐里に抱きついてきた。

「っ!ちょっと!!」
「しーっ。テントなんだから、おっきな声したら聞こえるよ」

確かに、目隠しとしての仕切りがテント間にあるとはいえ、テント同士は20メートルも離れていない。
テントはゴツめとはいえ、布で出来ているワケで。

「...だから、寝るでしょ」
「んなワケないじゃん」

そう言いながら起き上がって、パジャマの上着を脱ぎ捨てている。

「どのテントでも、みんなヤってるよ。ヤんないワケないっしょ。こんなエロいトコで」

確かに、エロいなとは思ったけども。
みんなヤってることはナイでしょ。

...そりゃ、ヤってる人たちもいるだろうけども。

いつの間にかシーツの間に戻ってきた佳佑が、汐里の胸元に顔が来るよう抱きついてくる。

「こんな可愛くてエロい奥さん目の前にして、ガマンなんて出来ないね」

可愛くてエロい??

驚いた顔に気付いたのだろう。ふふふと笑っている。

「すげー可愛い」

髪が優しく撫でられ、唇がわずかにゆっくりと触れる。

「...嘘でしょ」
「ん?...何が?」

角度を変えてまた重なる。
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