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世界で一番身近な女
第2章 姉の葛藤
お互いに家を後にしてキャンバスに足を踏み入れると、紗希にはいつもと変わらぬ大学生活が訪れて、昨夜の過ちが泥酔してしまった為に不埒な夢を見ていたのではないかと思えた。
「よっ!どうした?朝から浮かない顔をしてさ」
気さくに肩をポンっと叩いて
まるでいつもの日常のように昨夜に紗希をフッた同じ学部の下條正樹が、そこに座るのが当然というように紗希の隣に腰を降ろした。
「正樹…あんた、どうして私の隣に座るのよ!」
机の上に羅列してある筆記用具をバッグに雑にし舞い込んで、紗希は隣に彼が居ることに耐えられずに席替えをしようと席を立とうとした。
「逃げなくてもいいじゃん」
正樹が自然な動作で紗希の肩を抱いて
もう一度同じ席に座らせた。
「だって、正樹とは別れたのよ
フラれた女が元カレと同席なんてバカげているわ!」
「フッた?俺が?
ああ、夕べの事か?
ありゃ、単なる気の迷いってやつさ」
「気の迷い?」
「ああ、男ってのはさ、
食いなれた飯もいいけど、たまには豪勢なディナーを食いたくなる生き物なんだよ
食い終われば『あ~、やっぱりいつもの定食がいいなあ』って思ってしまうものさ」
何よ!哲学のように語ってくれちゃってさ!
ようするに、憧れの女とエッチしたけど、どうせ下手くそってなじられたんでしょうよ!
だから、元カノの自分とヨリを戻そうって魂胆なのが見え見えだった。
「悪いけど、私、もうあんたの女じゃないんだからね」
「じゃあさ…あらためてお付き合いを申し込むよ。
お願いします、俺と付き合ってください」
顔をグッと近づけて
今にも唇が触れあうかのような至近距離で
見せたことのない真面目な顔をして正樹が再交際を申し込んできた。