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世界で一番身近な女
第5章 両親の帰宅
「あなたぁ…怒ったの?」
希美枝は湯気が立ち上る浴室の扉を開け、
浴槽に浸かる洋介に声をかけた。
「別に…」
『もう!…怒ってるじゃない…
怒らないでよぉ…』
希美枝は、こちらを振り向きもせず、ぶっきら棒に返事を返した夫の声に、今まで一度も喧嘩をした事の無い夫の機嫌を直そうと、無意識の内に服を脱ぎ始めていた。
希美枝は着ていた服や下着を脱衣カゴに放り投げるように脱ぎ捨てると、背を向けて浴槽に浸かる夫の背後から近寄っていく。
「あなたぁ…ほら一緒に入るわ…だから機嫌直してよぉ…」
「俺は別に…怒ってなんかいないよ」
「怒ってないっていうのなら、こっち向いてよぉ」
希美枝が自分の方に振り向かせようと、
背を向ける夫の肩に手をかけた瞬間、洋介はバスタブから立ち上がり、背を向けたまま洗い場に腰かけた。
「ほらぁ~…怒ってるぅ
ほらっ、タオル貸して…背中流してあげるから」
怒っているというよりは駄々っ子のように不貞腐れる夫から奪うようにタオルを取ると、彼の背中を優しく流し始めた。
「変わってないわね…あなたは昔からちょっと気に入らない事があるとすぐに不貞腐れて…」
「そんな事ないよ」
「でも、こうしてあなたの背中を流すのは本当に久しぶりだわ…」
「母さん…つぎは前も洗ってもらおうかな」
不機嫌だった洋介はいつの間にか上機嫌になり、
振り向いた彼は飛びっきりの笑顔だった。
『あっ!』
希美枝は振り返った夫の股間に、さりげなく視線を移した瞬間、下っ腹を叩くほどに勃起した熱く滾る
疼きに驚いた。