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世界で一番身近な女
第9章 泌尿器科受診

「いつもは起こしてくれるのに、どうして起こしてくれなかったのさ」

大介は弁当を受け取りながらブツブツと文句を言った。

「起こしたわよ、でも起きてくんないんだもん」

その言い方は母として上から目線ではなく、
なんだか恋人が彼氏に言い訳するような口調だった。

起こしに行ったというのは本当だった。
いつものように布団をひっくり返して体を揺り動かそうとしたけれど、見事に朝勃ちして膨れ上がる股間を目にして、これ以上その場にいるとパジャマのズボンを降ろしてしゃぶりつきたくなる衝動に耐えきれず、起こすという目的もそこそこにその場から逃げ去ったのだった。

「ね、今日は早く帰ってこれるの?」

母の希美枝は新妻のように大介の帰宅時間を尋ねた。

「う~ん、どうかなあ…
僕、今日は学校を休みたいんだ」

「あら?どこか具合が悪いの?」

そんなことを聞きながら、
もしかしたら、学校を休んでまで自分の体を求めてくれようとしているのかしら?と
自分の都合のいいように解釈した。

「具合が悪いというか…
ちょっと病院に行きたいんだ
だから保険証を出してよ」

健康保険証まで求めてくるということは
体の調子が悪いというのは本当なんだわと
スケベな事を考えていた希美枝は自分を恥じた。

「どこの病院?駅前の総合病院?
タクシーで連れていってあげようか?」

「よしてくれよ、幼児でもあるまいし、病院ぐらい一人で行けるさ」

具合の悪い箇所がアソコだけに
なおさら一人でこっそりと治療しておきたかった。

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