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蒼い月光~くの一物語~
第12章 朱里の誠の敵討ち
逝きかけた朱理を剣山の言葉が引き止めた。
「敵ながらアッパレであった。
誰か、この女の右手をここへ・・・」
家臣の者が朱里の右手を差し出した。
「右手がないと不便であろう・・・」
朱里の胸に切り取られた右手を乗せ、
剣山は両手を合わせて合掌した。
その合掌に合わせるかのように、
はるか先より『貞虎、討ち取ったり~~』という
勝鬨があがった。
「戦は終戦した~~~!!!!
討たれた家来の骸は家族に渡してやれい!
身寄りのない家来の骸は丁重に弔ってやれい!!
敵方の武士(もののふ)もまた然り!
敗れた隣国も今から儂(わし)の領土なのだ
隣国に使いを出し、骸を引き取るように伝えよ!
身寄りのない骸は
我が家来と同様に丁重に弔え!!!」
そう命じた後、朱里の骸の傍にひざまづき
「お前も父母の元に帰りたいであろう・・・
しばし待たれよ必ずや家に帰らせてやるからな」
と言葉をかけた
伝令は首領を通じて
朱里の育ての親である疾風とウズメに伝えられた。
「そうか・・・朱里が逝ったか・・・」
疾風は天空をジッと見つめ、
溢れそうになる涙を堪えた。
ウズメはその場に泣き崩れ、
己の呪われた人生を悔やんだ。