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蒼い月光~くの一物語~
第13章 決戦!

「ほんとに奇跡でございました・・・」

落ち着いた頃、
兵吉が救出時のことをポツリと話し始めた。

八重を助けて川辺で足の骨折部分に
添え木を巻きつけて手当していた時だった。

八重が落下してくる千代を見つけた。

「兵吉!千代さまが・・・」

兵吉が振り返るのと
水柱が立ち上るのが同時だった。

「私は大丈夫、早く千代さまを!」

八重が声を出すのと同時に
兵吉は大岩の上から川面を目掛けて跳躍した。


千代は川面に浮上してこない。

兵吉は千代の落下したあたりで潜水してみた。

だが千代の姿は見当たらない‥‥

『流されたか』

早く見つけなければと焦った。

そのときだった。
川底から眩い光が兵吉を誘った。

『ん?あれは‥‥』

光の正体は銀箔に飾られた長細い箱だった。

その箱の脇に千代は沈んでいた。

「まさに奇跡でございました。
あの光がなければ見つけることが
できなかったやもしれませぬ」


銀箔の箱‥‥

それはまさしく朱里の棺ではないか。

「さらに不思議な光景だったのは、
その箱を愛しく抱きかかえるように
二つの遺体がございました‥‥
まるでその箱を守っているかのように‥‥」

疾風とウズメに違いない!

千代は兵吉にその箱が沈んでいるおよその場所を
聞き出すと疲れた体にムチ打って
川に飛び込んだ。


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