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揉ませていただきます
第10章 女性編 清掃係の由美子さん

静子はむしゃくしゃしながら大浴場へ向かった。

あんなにセックスが
したいと思ったのは初めてだった。

『私…どうしちゃったのかしら…』

明日…お客様の朝食を取りに
厨房へ向かわなければならない。

きっと、いやでも幸雄さんと顔を合わせるだろう、
どんな顔をして幸雄さんに会えばいいのやら…


静子は気持ちを落ち着かせようと
温泉に浸かろうとした。

脱衣場で裸になって浴室に足を運ぶと

「あら、静子ちゃん…お風呂、まだだったの?
湯舟を洗おうと思ってお湯を抜いちゃったわよ」

清掃係の由美子さんが
デッキブラシで湯舟を擦っていた。

「そうなんだ…
あ、いいの、いいのシャワーですますから」

そう言って洗い場の椅子に腰を落とした。

由美子さんがいなければ
大声で叫んで思いっきり泣いていたかもしれない。

でも、我慢してもやはり涙が零れてしまう。

ふと気付くと由美子さんが背後に立っていた。


「どうしたの?何かあった?」

何でもないと頭を振ると
蛇口を捻って流れ出るお湯で顔を洗った。

由美子さんは「ふう~っ」と息を吐くと、
意を決したかのように

「静子ちゃん、
今夜はおばちゃんの部屋でちょっと呑もうよ」
と誘った。

由美子さんも静子と同じように
住み込みで働く女だった。

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