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第3章 　“ｃｈｉｌｄｒｅｎ”

髪を乾かし終え、徹夜して少し荒れた肌を丁寧にマッサージしていく。

マッサージされて気持ちいいのか、目をつぶって鼻歌を歌っている。

その後、パックを施す。

ショートカットの髪は黒く艶やかで、手触りもとてもいい。

その髪にヘアワックスを付け、スタイリングしていく。


一度、直人に直人たちのお母様の写真を見せてもらう機会があったんだけど。

お母様。ＴＨＥ！大和撫子！

本当に可憐でお奇麗な方だった。

茶道家元の娘で、育ちの良さが滲み出ている笑顔だった。

それでいて。頭もよく、飾らない性格だったそうで。

天は彼女に二物も三物もお与えになっていたのね。

直人はどちらかというと、お父様似だわね。

お父様もとってもイケメンでダンディな方。

このご夫婦が街中を歩いていたら、みんなの視線を

さらいまくっていただろうと簡単に想像できたわ。

そして、美人薄命だったのね。

そんなお母様に、本当によく似ているわね。サオリ。

お母様とは、髪の長さが違うくらいね。

あぁ、もう11時半！
メイクして着替えさせなくっちゃ！

白いチュニックワンピースにデニム生地のレギンス

いろんな色の天然石がついた長めの2連のネックレスをかけ、

似たような天然石のピアス。

ベージュの細身のトレンチコートに濃い目のベージュのショートブーツを選ぶサオリ。

最近のお気に入り系だわね。

まぁ、ハタチそこそこの女子大生が選びそうな感じよね。

似合うし、若さが武器に出来てる。

出版社系列のパーティーや通訳で世界各国の財界の方々とお会いしたり、

その後のパーティー出席時にはそれなりのブランドのドレスで出席していたわ。

出版社のパーティーも今までは“夕凪”としての出席ではなく、

関係者、もしくは翻訳家としての出席だった。

でも、今回は違うの。

世界各国の財界の方たちとも通訳のお仕事を通じて

ずいぶん多くの方々と交流してきた。

今や日本語・英語・韓国語・中国語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・

ポルトガル語・スペイン語・ヒンディー語・ロシア語・アラビア語

などは難なくこなせる。