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TRUE COLORS ~PURPLE~
第29章 New Year 2
作り上げた料理をお重に詰め、オードブルなどの料理も盛り付け終わったので、
一旦着替えに自室に帰る。
レイからのLINEの返事が来ているか気になる。
雅人さんの健康状態は少しずつだけれど、回復していってるらしい。
でも、記憶を失っていると。
それはマチ子ママから聞いて知り得た情報のみ。
それを聞いてからレイにLINE送ってみたけれど。
まさかいきなり雅人さんの事を聞くわけにもいかないので、
結城君とこちらで再会したこと、
まりかちゃんからドレスの進捗報告の事をLINEした。
でも。
昨日までレイからは連絡がないまま。
昨夜もう一度、結城君が我が家で年越しをして
その後そのままパリに行くことをLINEしたのだった。
返信来ているかしらと思いながらセーターを脱ぎ、
ロングTシャツを脱いだ時だった。
「いくら貧乳だからって、ブラぐらいはしとけよ。」
と背後から声がする。
慌てて振り向くとベッドのうえで胡坐をかいている結城君と目が合う。
「な、な、なんで!」
「前、隠せ。この貧乳。」
盛大な悲鳴と大笑いする声が沙織の部屋から聞こえてくる。
そして笑いながらリビングに結城君が帰って来た。
俺と父さんはソファに座ってゆっくりお茶を飲んでいた。
結城君にお茶を勧めると、いただきますと湯呑を受け取りソファに陣取る。
「あいつ、俺が部屋ついて行ったの全く分かってなくって。」
苦笑しながらお茶をすする。
「あ、旨いっすね。このお茶。」
「梅乃さんが送ってくれた○○茶園の玉露だよ。」
こいつ、沙織の着替え黙って見てたなと思いつつ答える。
だろう。と父さんが笑う。
「どうりで。以前梅乃さんが点ててくれたお茶と同じ農園のだったら、納得の味だ。」
本当に味覚にはずば抜けた才能を持っている子だ。
一度味わったものは絶対忘れない。
だから、不味いものには容赦ない。
「パリでの仕事終わったら、一旦日本に沙織と戻ろうと思ってますから、
梅乃さんの立てたお茶飲みに行こうかな。」
お茶の香りを目を細め堪能しながら、呟く。
「きっと喜ぶよ、ぜひ行ってあげてくれ。」