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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第9章 Lily of the valley
今日は“夕凪”のドレスをウチのデザイナー全員が

各々デザインしたデザイン画の選考日だ。

自分のオフィスで、提出されてきたデザイン画を一枚一枚チェックしていく。

短期間だったとはいえ、普通にASAHINAのドレスとして、

売り出していく分のレベルではあるのは、流石というところではあるが。

デザイナーたちも、2度来店した“夕凪”本人を見て

イメージをしているようだが、

なにか、こう………、足りない。何かが違う。

映画の原作の題材は

“幕末の花魁と志士、日本人とフランス人のハーフの男性”だ。

そして古き良き日本。


今日、レイと夕凪が来店する予定だ。

デザイン画を見て選んでもらわなくては、時期的に不味い。

気に入ってくれるものが、この中にあるだろうか。

一ノ瀬の案件のコラボの件もある。

衣装との相性も考えなくてはならない。


デザイン画をデスクに置き、内線でコーヒーを頼む。

気分を変えるつもりでTVのリモコンの電源をONにする。

昼の情報番組で街ぶらロケの様子が映し出される。

街ぶらを得意とする芸人男性が賑やかにしゃべっている。

なんとなくその様子を見ていると、頼んでいたコーヒーが運ばれてくる。

礼を言ってコーヒーを受け取り、一口、口に含んだその時。

「今日のゲストは!

 今超大人気の!ユー〇ューバーでもあり、イン〇タグラマーでもある!

 モデルのリカさんでぇ~す!」

噴き出した。


「まずいなぁ。替えのシャツ置いてたっけ?」

吹き零したコーヒーが白いシャツにかかってしまい、

それを拭きながらロッカーにシャツの変え置きがないかを確認するが、ない。

仕方ない、下に行って今季新作のシャツを買うか。
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