この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
漏らしちゃったの?
第2章 海の秘密
5

最初に気づいたのは、伊倉さんの方だった。

ぼーっとお惣菜を選んでいると、隣に人の気配を感じる。見上げるとにっこりと笑顔を向けられた。

「やっぱり、あの時の子だったか」

さっぱりとした口調で伊倉さんは言う。
わたしもすぐにピンと来て、それで、めちゃくちゃに恥ずかしかった時のことを思い出して、俯いてしまった。

「あ、の、あの時は…………その、すみません、助かりました」

顔が真っ赤になっていくのがわかる。
夏でもないのに、異様な程に体が熱を帯びる。

「いいよ。大したことないって」

さらっとそういう伊倉さんにとって、本当に大したことないように聞こえたから、こっちとしてもちょっと安心した。
やっぱり、仕事で介護してると慣れてるのかな。

「青凪さん、仕事帰り?」

これまたさらっと名前を呼ばれたことに驚きつつ、頷いた。
あの時……首から名札下げてたの、確認されてたんだ。

「あ、はい。……あ」

焦りながら頷いて、気づいてしまった。

伊倉さんのカゴの中と、わたしのカゴの中。
伊倉さんのカゴには、キムチ鍋の素と、野菜とお肉と、恐らく自炊をするであろう食材がたくさん入っているのに、わたしのは……

パックのお惣菜と、カップ麺と、申し訳程度の野菜ジュース。


わたしはそっと伊倉さんの視界に、カゴの中身が入らないように、避けた。

その様子を見て、伊倉さんがくすくすと笑う。

気づかないわけないのだ。だって伊倉さんは、わたしの尿意にさえ気づいて、トイレに連れて行くような人だ。

「……うちに、食べに来る?」

「え?」

突然の提案だった。伊倉さんは笑いながら、でもわたしの表情の変化に合わせて、言葉を繋いだ。

「いや、見たところ、忙しいんだなって。あと、今日鍋にするんだけど、1人では食べきれないと思ってたし。もちろん、青凪さんが良ければだけど」

……不思議と、全く嫌な気持ちがしなかった。

わたし自身、あんな失態を見せながらも、伊倉さんのことが少し気になっていたんだと思う。

ピンチの時に助けてくれる異性というのは、2割増くらいでかっこよく見えるものなんだ。伊倉さんは既に、紛うことなきイケメンだと言うのに。

「良いんであれば……その、お世話になりたいです……」

俯きがちにそう言うと、伊倉さんは嬉しそうに笑った。
/84ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ