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漏らしちゃったの?
第5章 治療生活

「はい、終わりでいいよ。おしっこ、ここで出そうか」


嶋池先生がわたしの陰部にあてがった尿器に、そのままの体勢で放尿する。


用を足したくて仕方がなかったわたしの膀胱は、競り合って押し出すように排尿を済ませた。

尿器に勢いよく出ていく排尿音だけが響く。

すっきりとした気持ちと、後からくる恥ずかしさ。

内診台の足がようやくしまって、服を身につけることを許可される。


「今後の治療について、なんだけれど……」


その話をする頃には、伊倉さんも診察室にいて、一緒に話を聞く。

1人でいいと言っているのに、伊倉さんが一緒に説明を聞くのは、ちゃんとこのことに関して熱心なことと、恥ずかしい治療なだけに、わたしが伊倉さんに治療のことを話さないと思っているからというのが理由だろう。

信頼ないなぁと口を尖らせつつも、伊倉さんがいなかったら絶対に伝えるのを端折っていたなぁと思うところも多々あるから、伊倉さんの読みは当たっている。

「肛門を刺激しながらだと2分半、充分に持たせられたから、膣圧測定するときも少し刺激してみたらもっと値が20に近づくかも。慣れてきたら刺激なしで測ってみて」


……嶋池先生が今日の診察から、わたしにとってはとても余計なことを付け加えられる。




明日の朝からきっと、膣圧を測る時にお尻も刺激されるだろうと考えると、気が滅入る思いだった。恥ずかしいことが増えていく……。

気づかれないようについたため息が、肺の底から湧き出るようだった。


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