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漏らしちゃったの?
第6章 経過観察
3

「こんにちは、久しぶりだね、青凪さん」

診察室に入ると、嶋池先生がにこにことこちらを見ていた。
先月と何も変わらない。

「こんにちは……」

これから気が進まない治療だと思うと、声が小さくなっていく。

「1ヶ月どうだったかな? 夜中、おしっこがしたくて起きることはなかった?」

「……それは……まだなかったです……」

「そっかー、でもちゃんと起きてトイレに行けてるかな?」

「はい」

「うん、それで大丈夫。続けてね」

言いながら、嶋池先生がカルテにペンを走らせる。

「今日は……朝から浣腸してきたんだってね」

今朝の一件を思い出すと恥ずかしくって仕方なかった。
俯いて小さく頷くのが精一杯だった。

「えらいね。ここでやるより家でする方が気持ち的には楽だと思うから。結構便秘気味なこと多いみたいだか、浣腸も処方箋出しておくね」

気持ち的に楽なんてことはない。
病院でドキドキしなくてはいけないことがひとつ減ったくらいだ。
それにしても、薬局で浣腸をもらうとなると、伊倉さんに定期的に浣腸を受けることになるのだろうか……と考えただけで少し憂鬱だった。

本当に恥ずかしかったし……少し、なんか、変な快楽に目覚めそうな感じがして、すごく怖いという本音もある。

「じゃあ……膀胱広げていく治療しましょうか、内診室に行ってね」

あぁ……嫌だなぁ……

重い腰を持ち上げて、『内診室』とプレートが下げられた隣の部屋の扉を開ける。


カーテンの向こうには、嶋池先生が準備していた。


「青凪さん。下着を外して、そこにある椅子に腰掛けてね」

待ち構えているピンクの椅子。


大きく開脚されてしまう椅子に、嫌な記憶しかなくて、身震いする。

ゆっくりと下着を外して……下半身が裸になった自分の体を見ないように、そっと椅子に腰掛けた。

「座ったかな? 動いていくからね」

そうして、嶋池先生の声に合わせて、椅子が動き出した……。



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