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漏らしちゃったの?
第2章 海の秘密

3件目の業務は、車椅子のフィッティングだった。

利用者とその家族と話を進めながら、調整していく。


業務の最中、急激な尿意に襲われた。

先輩が、利用者に説明をしながら、対応しているその間に、トイレで抜けることはできず、ただただその場でもじもじとすることしかできなかった。


おしっこがしたい…………


それしか考えられず、頭の中がいっぱいになる。
仕事の内容が頭に入らず、その場を離れようか迷った時だった。


「あっ……ちょっとすみません。少しだけ、手伝っていただけますか?」

声をかけられて、わたしと先輩が振り向く。


男性の介護スタッフが、困ったような顔をして、わたしたちに助けを求めていた。わたしより少し年上の、さっぱりとした高身長の彼。パステルカラーのエプロンに付けていた名前を確認する。

伊倉秋也


先輩は、接客の対応中だったため、目配せでわたしが行くことが決まる。

「良いですよ」

今にも漏れそうなおしっこを我慢しながら、ゆっくりと歩き出す彼についていく。

施設の中へと入り、ちょうど角を曲がって人影が見えなくなった時、不意に、彼がわたしに耳打ちしてきた。


「あの、間違ってたらごめんなんですけれど……おしっこ我慢してますか?」


ドンピシャで当てられて、控えめに、俯きながら頷く。
他人から見て、もぞもぞしていたのがバレたのかと思うと、恥ずかしくて頬が赤くなる。
彼は、わたしが頷くのを確認すると、迷いなく手を握って歩き出した。


「トイレ行こう」


言われて、素直についていく。

助かった……と安堵する気持ちと、尿意を我慢しながら異性に手を引かれる不思議さが入混ざって、妙な気持ちになっていた。

しかし、尿意はトイレを待ってくれない。


もう少しでトイレ、という時だった。


「あっ」


……じんわりと、生暖かい感覚が、ナプキンに染みる。

漏れだしていることは、明らかだった。

お尻が、股間が、熱くなっていく。


その様子を見て、彼が慌てて共用のトイレにわたしを押しこんだ。


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