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漏らしちゃったの?
第7章 お仕置と。

「こんにちは。婦人科の阿久津です」
鋭く、真っ直ぐ見つめられて、声が出ない。
この人の前では、きっと嘘なんかつけないと悟る。
目で全てを見透かされるような気がした。
……どちらかと言うと、嶋池先生の方がまだ柔らかい印象というか……。
「青凪さん。青凪さんの症状は、一時改善の傾向が見られたんだよ。でもね、最近また少し酷くなってきてる。薬物療法も視野に入れてるんだけれど、その前に、子宮の方にも異常がないか、専門の先生にしっかり調べてもらう必要がある」
嶋池先生がわたしに向かって言った。
頷くだけで、喉が乾いて声が出なかった。
『しっかり調べてもらう』
ということは、つまり何を意味するのかを、もう察している。
きっとあの、恥ずかしい椅子に乗せられる時間が長くなって、その上、恥ずかしいところを隅から隅まで調べられるんだろう、ということ。
ぎゅっと足を閉じた。想像しただけで体が震える。
阿久津先生が、嶋池先生の持っていたカルテを持ち上げ、目を通す。
思ったより腕が太くて、筋肉の筋がしっかり透けて見える。
「いま、月経来てる?」
「い、いえ……」
「最後に来たのはいつ?」
「……3週間前です」
「毎月、ちゃんと来てる? 生理痛とかはつらくない?」
「毎月来てます。生理痛は……」
毎月痛みはある方だ。痛み止めがないとやっていけない。でも、痛いって言ったら、恥ずかしい思いをする時間が長くなるんだろうか……。
余計な思考が頭を過り、上手く答えられない。
その間にも、2人の眼光が鋭くなる。
この考えている時間が長いことが、不自然であることに気づくべきだったし……、何より。
「いや、そんなに……痛くならないです」
この2人を前にして、小さな嘘ですら命取りであることを、考えておくべきだったと思う。
「……そうか。じゃあ、内診してみましょう」
阿久津先生が軽い調子で言った。
2人が、隣の内診室へと消えていく。
わたしは重い腰を上げて、あの恥ずかしい椅子へと続く扉を開けた。

