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漏らしちゃったの?
第2章 海の秘密

「中に入ってもいい?」

便座に座ったまま、オムツを握りしめて、俯いた。
異性の前で漏らしてしまった失態。
それを上塗りするように、これからオムツをあててもらう……

考えただけで恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。

数分の沈黙を待った後、彼は静かに言った。

「……入るよ」



トイレの鍵は開いていた。
控えめに、そっとドアが開き、すぐに閉められる。
共用トイレで少し広めの空間とはいえ、大人2人が入るとやはり充分とは言えない広さではあった。

伊倉さんの、顔を見ることができない。
更にぎゅっと握りしめた手を、彼がそっと包み込んだ。

「……お漏らしは初めて?」

『お漏らし』という言葉に羞恥心を煽られながらも、みぞおち辺りがきゅっと狭くなる。
わたしはゆっくりと首を横に振った。

「よいしょ」

伊倉さんがわたしの前にしゃがみこむ。座ったまま濡れていたパンツを脱ぐように、わたしに言った。
何気ない口調で、伊倉さんは話しながらオムツを手にする。

「おねしょはしたことある?」

「…………今朝……」

「そっか。でもこういうの使うのは初めてなんだね」

伊倉さんは手際よくオムツを広げて、座っているわたしの足の間に通していく。

「どこも見ないから。もう少しだけ足広げられる?」

言われた通りにほんの少し足を広げる。
前の方でテープを留めると、1枚の帯のような形だったオムツがパンツのような形になる。

「これであと、普通に履けばいいから。じゃ、僕はこれで」

彼がトイレから出ていったあと、言われた通りにオムツを履いて、ストッキングを履く。
なんとも言えないもごもご感は否めないが、これでもう漏らすことはない。


恥ずかしいところを見せてしまったけれど、お礼は言わなきゃ。
そう思ったが、その後、伊倉さんの姿を見つけることはできなかった。
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