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蒼い春
第2章 恩師 月島弓子
「おなか、減ってない?…」
先生のお弁当でよかったら食べない?
そう言って
かわいい花柄のクロスに包まれたお弁当を
目の前に置いてくれた。
お弁当を見たとたん、
奈央のおなかがグゥ~と可愛い音をたてた。
「いいのよ。おなか減ってるんでしょ?」
そう言ってお弁当を開いてくれた。
お弁当は女性らしく色が鮮やかで
バランスのとれたおかずが一杯だった。
「い、いただいても…いいんですか?」
奈央が尋ねるとコクンと頷き、
やさしい笑顔をみせてくれた。
お弁当を食べ終えると、
体が温まりようやく落ち着いてきた。
「わ、私…義父に…」
レ イ プされたんです。
小さな声でそう告げると、
涙がみるみるあふれてきて
先生の胸に顔を埋めてしゃくりあげて泣いた。
「え?な、なんですって?」
奈央が落ち着くのと反比例して
先生の顔がみるみる青ざめていった。
「あなたはここにいなさい!いいわね!!」
そう言い残して、
弓子は慌てて職員室に行くと
家庭訪問ファイルを探し出し、
奈央の自宅までの経路図を引き抜き
マイカーに飛び乗った。