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蒼い春
第3章 奈央の就職

「森下先生!」

行事を終え、
幸久先生と帰途の途中で
後ろから声をかけられた。


振り返ると同期の沢口先生だった。

「あの…よければ同期の親睦を兼ねて
飯でも食いにいきませんか?」


思いがけないお誘いだった。

困った顔をしていると、幸久先生が

「行ってきなさい。
同期としていろいろお話も弾んで
リラックスできるでしょうし」と
背中を押してくれた。


「え…っと…
美術の月島先生でしたよね?」

沢口が少し怪訝そうな顔をした。

「はい。美術の月島です。
わけあって奈央、あ、いや森下先生の
親代わりをしています。」


2人の関係を変に誤解されないように
先に二人の関係を話してくれた。


「そうなんですか、
あ、けっして森下先生を
口説こうとかそんなんじゃ…」

幸久先生が親代わりだと知って
沢口は必死に弁解した。


わかってますよ。
沢口の弁解を諭して幸久は笑顔を返した。


「若い同期の二人が
仲良くするのはいいことです。
私からもお願いします、
奈央ちゃんをよろしくお願いします」

沢口に一礼すると

「じゃあ、奈央ちゃん。
楽しんでらっしゃい。
沢口先生、遅くなるようでしたら
奈央ちゃんを送ってくださいね」


そう言って、じゃあねと手を振って
二人の若い教諭をその場に残して
幸久は帰途についた。



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