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保険外交員の営業痴態
第10章 帰省

東京に雪が降った。

季節はすっかり冬に様変わりして
街中のあたらこちらで
イルミネーションが輝きだした。

『もうすぐクリスマスね…』

彼氏のいない真由美にとっては
だからどうしたという感じだった。

和真にフラれる前は
プレゼントを考えたり、
イブにはどこで食事をしようかしらなどと
いろんなことを考えて楽しい季節だった。

今は和真のような特定の彼氏はいないのだけれど
保険加入の顧客から
やれ食事がどうのだとか
やれドライブに行こうかなどと
真由美にアプローチをかけてくる。


契約のために抱かれたけれど
どれも皆、
真由美の心をときめかすような男はいない。

お仕事のチーフである明子さんからは
適当にお客さんとはお付き合いをして
関わりを持っていた方が
後々、便利よと言われるのだけれど
誰も彼も真由美の体が目的なのがバレバレなので
イマイチ誘いに乗るのが億劫だった。

そんなある日のこと
田舎の母親から連絡があった。

「あんた、たまには帰ってきなさいよ」

父親の再就職も決まり
仕送りの事など
今後の事についていろいろと話があるという。

どうしようかな…

東京に残っていても
街のいたるところで
カップルのイチャイチャを
見せつけられるのもイヤだし
真由美は思いきって帰郷してみることにした。


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