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保険外交員の営業痴態
第11章 ドライバー 白山広大
バスはエンジンを切ると
急激に冷え込んでくる。
真由美は「こんなに寒いんじゃ寝れないわ」と
自分の座席のブランケットだけでは足りずに
もう一枚ないかしらと
近辺の座席をゴソゴソと物色した。
「ブランケット、もう一枚欲しいんでしょ?」
バスの運転手が気をきかせて
予備のブランケットを持ってきてくれた。
自ら座席のカーテンを捲るのは
社内ルールでご法度なのか
「隣の座席に置いておきますね」と声をかけて
立ち去ろうとしていた。
「ありがとうございます…
あの…良ければお話ししません?」
真由美は持ってきてくれたブランケットを
取るためにカーテンを開けて
運転席に戻ろうとする運転手に声をかけた。
「いいんですか?」
呼び止めてもらうのを待っていたかのように
彼はクルリと向き直って
いそいそとイチャイチャしていた男が座っていたシートに腰かけた。
「こんなに早く到着するんなら
予定どおりにパーキングエリアに
停車してくれればよかったのに…」
真由美はさりげなく運転手に文句を言った。
「あ、いや…
少し遅れ気味だったものですから…」
嘘だった。
予定どおりに順調に高速道路を走らせていた。
何故、こんなに急いだんですか?と
真由美に問い詰められて
仕方なく白山は本音を白状し始めた。