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保険外交員の営業痴態
第11章 ドライバー 白山広大
「お客さん、ここに座っていた男と
走行中にイチャイチャしてたでしょ?」
「あら?気づいてらしたの?」
真由美は思わず赤面した。
「わかりますとも
バックミラーで確認したら
カーテンが…その…揺れてましたから…」
そしてパーキングエリアで二人で降りて
深夜で誰もいないのをいいことに
男と女の関係をしていたんでしょ?と
まるで見ていたかのように
白山はそう告げた。
「こっちは夜通しバスを走らせているというのに
そういうことを楽しまれているのかと思うと
なぜか年甲斐もなく嫉妬しちゃいましてね」
こう見えても私は
10年前までモテてたんですよと
白山は遠い目をして過去を振り返り始めた。
当時は観光バス業界も人手が足りないほどの
大盛況だった。
インバウンドで海外からの旅行者も多く
来る日も来る日もバスを走らせていた。
観光地では乗客が観光をしている間、
駐車場でバスは待機するのだが
バス車内は運転手とバスガイドだけの
二人だけの空間になってしまう。
当然そこには男と女の妖しい空気が流れ
どちらからともなく親密な関係にもなった。
最後にいい思いをしたのはいつだっけ…?
そうそう、あれはベテランのバスガイドが
最後の添乗になると言っていた時だったなあ…
白山は当時の事を思い出していた。