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保険外交員の営業痴態
第14章 人事部 木下幸平
翌朝、
進一が真由美の両親にお別れの挨拶にきた。
「あら?進ちゃん、もう帰っちゃうの?」
真由美の母は残念そうにそう言った。
「ええ、ちょっと顔を見せに来ただけですから」
そして真由美に向かって
「お前は年明けまで
ここでのんびりするんだろ?」
と尋ねてきた。
「う~ん、どうしようかなあ…」
チラッと母の顔を伺ってみた。
真由美と進一をくっつけたがっている母は
「あんたも帰んなさいよ
あ、そうだ、ついでだから
駅まで進ちゃんに乗っけてもらいなさいな」と言い出した。
「いいですよ
真由美、帰るんなら送っていくぜ」
「じゃあ…甘えさせてもらおうかな」
急いで荷物をまとめて進一の車に乗り込んだ。
助手席に座った真由美に母が小声で
「うまくやんなさいよ」と言った。
『おにいちゃんが他の人と結婚するのも知らないで…』
そう思うと吹き出しそうになったが
「まだ内緒な」と進一が言っていたのを思い出し
「うん、頑張るわ」と母にはそう言った。
見送りに出てきた進一おにいちゃんとこの
おじさんとおばさんは口をへの字にして
ご機嫌斜めだった。
多分、彼女の事を話したんだと真由美は理解した。
じゃあ、また…
そうみんなに告げて
二人を乗せた車は実家を後にした。