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保険外交員の営業痴態
第15章 秘書の女

「内定をもらったお祝いをしてあげたいけれど
今はそれどころじゃないのよ」

明子さんは真由美にごめんなさいねと謝りながらも
大量の書類に目を通し始めた。

「あの~…、私で良ければ何か手伝いますけど」

真由美からのその言葉を待っていたかのように

「ほんと?うゎ~、助かるわぁ」

明子さんは横に積まれた段ボール箱の中から
カレンダーのロールを取り出した。

小口のお客様なら郵送しちゃうんだけどね
ほら、上客の方とは何かと接点があった方が
何かと便利だからと
「悪いけど、カレンダー配りしてくんない?」

アポなしで回ってくれたらいいわ。
もし留守ならポストに投函しておいてねと
顧客名簿もご丁寧に渡してくれた。

手伝うとは言ったものの
この寒風の中、外回りはイヤだなあと
露骨に顔に出てしまったのだろう
「そんな顔しないで、
ちゃんと帳尻合わせしてあげるから」

そんな風に言いくるめられて
真由美はカレンダーを手に
冬将軍が猛威を奮う寒風の街に飛び出した。

『こんなことなら
パンツスーツにすれば良かったわ』

ダウンコートを着て上半身は暖かいけれど
下半身はミニのスカートにブーツ姿なので
寒風にさらされる太ももがとても寒かった。

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