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短編集 一区間のラブストーリー
第9章 第九話

令子は嬉しいような寂しいような
複雑な気持ちだった。

平成元年生まれの令子が
新入社員として今の会社に入社したとき

社員たちからは
「おお、ついに平成生まれの子が入社してきたか」と

かなり皆にチヤホヤされたものだった。



昭和で流行ったギャグや歌謡曲を
「知らない」と告げると

「あ、今、何気なく昭和生まれの俺たちを
バカにしたろ?」などと言う会話が
つい昨日の事のように思い出される。


そんな平成の時代が幕を閉じる…

あと20年もすれば
平成生まれの自分がチヤホヤされたように
令和生まれの子達が
チヤホヤされる時代が来るのだろう…


平成31年4月30日をもって平成が終わる。

平成元年生まれの令子は今年で31歳を迎える。

まさか未婚のまま、
ひとつの元号を過ごしてしまうだなんて思いもよらなかった。


浮いた話がひとつもなかったかというと、
一人の女としてそれなりのお付き合いをした男性もいたし
結婚を意識した男性もいた。

だが、お互いのタイミングが合わずに今日に至っている。




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