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あなたの手当て
第1章 初めての部屋
【side菅波】


咄嗟に永浦さんを抱きしめた。

この間みたいにほんの束の間だけでは
全然足りない。
まるで足りない分を
補うかのように夢中で抱きしめた。

ふわりと石鹸の
いい香りが
自分の鼻腔に流れ込んでくる。

きつく抱きしめたら
壊れてしまうのではないかと思うほど
この感触が愛おしい。

この時間がずっと続くといいのに。


「わがまま言ってるのは僕の方です。
あなたは、まだやりたい事もたくさんあるのに
そんなあなたを置いて登米行きを僕は決めてしまった。
正直、なんで今?って思ってる。」


話してるうちに
涙腺が崩壊してきそうになる。


「僕は、あなたの生き方を僕自身わがままで束縛するのは本意じゃない。
だから、あなたは自分の思った通りに生きて欲しい」

さすがに
目頭が限界だった。

「それは、あなたが愛おしい人だから。」
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