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黒い瞳
第3章 淳子~6歳~
「こいつはね、後家さんや、バツイチの女狙いの結婚詐欺の常習犯なんですよ。
被害届が、もうすでに8件以上もでてるんです」
脱力している八神(矢島)を無理やり立ち上がらせながら、
年輩の刑事が説明してくれた。
母は愕然としながらも、
まだ心のどこかで信じられない気持ちでいた。
「どうして、ここにいるのがわかったんだ」
観念したかのように八神(矢島)は口を開いた。
「毎週土曜日に、この辺りをうろついているって言うタレコミがあったのさ」
「ふん、俺としたことがドジ踏んじまったなあ」
あんた、本当なの?これまでの事は全部ウソだったの?と、 母は半狂乱で叫んだ。
「ちなみに、こいつに金品を渡してないですか?」
という刑事の質問に、
わずかな蓄えの全額を渡してしまったと蒼白な顔をして母は答えた。
「たいした額じゃねえよ。この貧乏女がぁ!」
ペッと唾を畳の上に吐きながら矢島は吼えた。
返金の可能性は期待しない方が・・・
などと 語尾をあいまいにしながら刑事は言った。
母は力が抜けたように、
ペタッと腰から崩れ落ちた。
若い刑事が矢島を引き連れて言った後、
矢島の手口というのは、
尻が軽そうな女に言葉巧みに言い寄り、
ご自慢のマラで女を虜にさせ、
金を頂いた後トンズラするというものだと年配の刑事が話してくれた。
「金を取ってからも、こうして訪ねてくるとは、 よほど、あんたのアッチの方の具合がよかったんでしょうなあ」と、
年配の刑事が母の胸から股にかけて値踏みするような目つきで嘗め回した。