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黒い瞳
第4章 淳子~10歳~
「あいつとは別れるつもりだ。
この話、真剣に考えてはもらえないだろうか?」
「奥さんと別れてからの話だねえ」
きっと別れるからさと言いながら
男は母の股間に顔を埋めた。
やった!
淳子は喜びのあまり押入れから飛び出したくなった。
奥さんと別れたら、
あの男は私のお父さんになるんだ!
お父さんになったら、銭湯で体を洗ってもらおう。
淳子もお父さんの体を洗ってあげよう。
あの、きれいな男性自身も
ちゃんと洗ってあげよう。
襖の向こうでは母と男が営みに励んでいた。
母は男がイキそうになるのを感じ取ると、
さりげなく体を反転させて 男に馬乗りになった。
「ねえ・・・イキそう?
イキたくなったらイっていいんだからね」
そう言いながら、
なんとも妖しげな腰の動かし方をした。
「おお!!たまらん!・・・イ、イク!!!」
男がそう口走る前に、母は腰をあげた。
肉壺を失ったイチモツは、
情けなくビクンビクンと跳ねながら
白い液を己の腹にぶちまけた。
男と女の営みを終え、
男が身支度を済ませ帰るやいなや、
淳子は押入れから飛び出し母に言った。
「お願いだから、あの人を淳子のお父さんにしてよ」
「あんたもなにバカな事を言ってるの」
湯で絞った手ぬぐいで体を拭きながら
母は呆れていた。
「だって、あの人、奥さんと別れるって言ってたよ」
「いいかい?よくお聞き、妻と別れるから付き合ってくれってのは男の常套手段なんだよ。
ああいう事を言う男に限って
女房とは別れないもんさ」
「そうなの?」
淳子は心底がっかりした。
「それじゃあ、あの男の人がちゃんと奥さんと別れたら、お父さんにしてもらえる?」
諦めきれずに、淳子は懇願した。
「別れたらの話だけどね」
そんな話をしながら、母は寂しそうな顔をした。
しかし、男は2度と家にはやって来なかった。
母に聞いたところ、
母が夜のお勤めをしているお店にもプツンと姿を見せなくなったそうだ。
どうやら夜遊びが奥さんにバレて出歩かせてもらえなくなったらしいのだ。
男の甘い誘いには軽はずみで乗ってはいけなのだと淳子は一つ学習した。