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黒い瞳
第6章 淳子~18歳~
結婚式は仲間内で淳子が勤めているお店でおこなった。
盛大に・・・というわけにはいかなかった。
なにせ淳子には身内がいないからなのだ。
集まってくれたのは若林の身内と同僚、
淳子の仕事仲間だった。
「若ちゃん、うちのナンバー1を引き抜いたんだから幸せにしてやってよ」
ママさんが化粧が崩れるのも気にせず、
おんおん泣いてくれた。
「綾ちゃん、たまには遊びにきてよね。ナンバー1の座は私が引き継ぐから」
「ちょっと、なにいってんのよ。私が引き継ぐの」
「若さからいったら私が引き継ぐべきよねえ」
ホステスたちは軽口をたたきながらも目は潤んでいた。
「若、年寄りのくせに、どえらい若いべっぴんをものにしたのお」
「早く2世を作らなきゃ還暦がきますよ」
「ムリムリ、こいつのはマグナムじゃなく12口径だからな」
「淳子さ~ん、若さんで物足りなかったら俺のところへ来なよ~」
いかつい顔の刑事たちも
アルコールが入ると茶目っ気たっぷりのおじさま族に変身した。
淳子は幸せだった。
花嫁衣裳の白のウエディングドレス姿を 母に見せてあげれなかったのが残念だが・・・
「淳子さん、いたらぬ息子ですけど、どうか添い遂げてやってくださいな」
若林の母がフロアに正座して深々とおじぎした。
「お義母さま、私こそふつつかな女ですが、よろしくお願いします」
あわてて淳子もフロアに正座して
三つ指をついておじぎした。