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黒い瞳
第8章 淳子~20歳~
順平は徐々に淳子たちの生活に入り込んできた。
1週間に1度から2度3度と淳子の部屋を訪れ、
今ではすっかり生活を共にするようになってしまった。
しかし、淳子が順平に抱かれようとするたびに
由紀子が泣きやまず、
淳子の部屋で愛し合うことはなかった。
順平は執拗に淳子を求めた。
淳子もまた、順平の求めに応じたかった。
順平は由紀子が眠っているときを見計らって淳子を近くのラブホテルに誘った。
「だめよ、いくらスヤスヤ眠っているとはいえ、 いつ目を覚まして泣くかもしれないじゃない」
「大丈夫だよ。ほんの2、3時間じゃないか。 愛を確かめ合いたいんだよ」
順平の懇願に根負けし、
ラブホテルで愛し合ったものの
淳子は由紀子のことが気がかりでまったく燃え上がらなかった。
「なんだい、せっかくの二人の時間だというのに あの喘ぎ声はなんだよ。まるっきり演技じゃないか。 俺に抱かれるのがイヤだっていうのか」
「そうじゃないの。こういうのはやっぱり無理よ。 由紀子が気がかりで・・・」
「なら、一週間に一日でもいいからベビーシッターを雇えよ。 ゆっくりと俺とお前の時間を作ってくれよ」
あまり気乗りはしなかったが、
ベビーシッターに由紀子を預け、順平と愛し合うと、
由紀子への気がかりの負担がなくなった分、 淳子は心の底から燃え上がることができた。