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黒い瞳
第8章 淳子~20歳~
「えっ?」
「僕はあなたに惚れてしまった。 真剣にあなたとお付き合いをしたいと思っています。」
「私は・・・」
健太を忘れることなどできないと思っていた。
しかし、こうして佐々木に口説かれると、
気持ちは20歳の娘に戻ってしまいつつあった。
佐々木は、この食事をしているホテルの1室に部屋を取ってあるという。
淳子と一夜を共にしたいと誘ってきた。
『私はそんなふしだらな女ではありません!』
そう言って席を立とうとしたが、
なぜか体が動かなかった。
部屋に入り、すやすやと眠っている由紀子をソファに寝かすと、
佐々木が後ろからそっと抱きしめてきた。
淳子は佐々木に身を委ね、甘い吐息を吐いた。
二人は熱い口づけを交わし、抱き合いながらベッドに崩れ落ちた。
「待って、洋服が皺になっちゃう・・・」
「僕が脱がせてあげるよ」
佐々木は慣れた手つきで、
あっという間に淳子を一糸まとわぬ姿にしてしまった。
『健太・・・ごめんなさい・・・』
一度、火が点いてしまった体は、もう止めることができなかった。
「佐々木さん・・・」
「順平と呼んでほしいな」
「ああ・・・順平・・・」
順平は今までの男のなかでも群を抜いて上手だった。
前戯だけで何度も絶頂を味わった。
そして、今まさに順平を迎え入れようとしたその時。
今までソファでスヤスヤと眠っていた由紀子が 火の着いたように泣き出した。
あやしに行かなくては・・・
そう思うのだが、 順平の魔術にかかってしまった身体は由紀子よりも順平を求めた。
ママ・・・だめよ! ママ・・・だめ!!
まるで淳子に警鐘を鳴らすかのように
由紀子は泣き続けた。
しかし、順平に貫かれた瞬間、
淳子の耳にはもはや由紀子の声は届かなかった。
久方ぶりの男との交ぐあいに何度も達し、
最後にとてつもない大きな波が淳子を襲った。
いつしか、由紀子は泣き止んでいた。
由紀子はソファの上で淳子を見つめていた。
その大きな黒い瞳は、 まるで淳子を非難しているかのように、じっと淳子を見据えていた。