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短編 出張の一夜
第1章 旅館にチェックイン
「温泉にでも入って、温まってから寝るとするか」
これ以上のミーティングは、
もはや時間の無駄というべきしかなかった。
部屋の内線電話を使いミーティングの終了を告げた。
「すいません、これからお風呂に入りますので
その間にお布団を敷いておいていただけますか」
おそらく住み込みではなく、
通いの仲居さんなのだろう
ようやく布団を敷けて帰宅できるという嬉しさからだろうか
「はい!すぐにご用意させていただきます!」と声が弾んでいた。
入浴に行く準備のため、
キャリアケースを開いて藍子は愕然とした。
スエットジャージが無い!!
そうだ、せっかくの温泉旅館なのだから
浴衣で旅館気分を味わおうと
パジャマがわりのスエットを置いてきたのだった。
『どうしよう・・』
まさかスーツ姿で寝るわけにはいかなかった。
明日もビジネスが待ち構えているのだ
皺だらけのスーツで訪問などできるわけなどない。
仕方ない…浴衣で寝るとするか…