この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
短編 出張の一夜
第2章 一部屋の一夜
少し気分が重いまま湯に浸かったが、
温泉の気持ちよさがそれらを吹き飛ばした。
『上司と部下よ…
そんな襲ってくるなんてことは絶対にないわ!』
それにお互いに疲れきっているのだから
すぐに深い眠りに落ちるにきまっているわ
そう自分に言い聞かせた。
桧山は温泉から戻って部屋を見てビックリした。
2組の布団が隙間なく
ピッタリ並んで敷かれていたからだ。
『おいおい、いくらなんでもこれはマズイだろう』
桧山が布団を引き離そうと
手をかけた時に藍子が温泉から帰ってきた。
見方によっては桧山が
布団を近づけているようにも受け取れない
そんな場面だった。
「あ、いや、違うんだ。
あまりにもピッタリくっついていたからさあ
少し隙間をつくろうと…」
何をしてるんですか?と聞かれてもいないのに
桧山はなぜか弁解めいた言葉を
自然と口に出していた。
「そ、そうなんですか…」
じゃあ、私も手伝いますと、
藍子が反対側へ布団を引っ張った。
そのとき、屈んだ藍子の浴衣の胸元が
少しはだけて見事なデコルテが
桧山の目に飛び込んできた。
あわてて目を逸らしたが、
藍子は桧山の視線に気づき、
こちらもまたあわてて浴衣の襟を正した。