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いろはにほへと~色は匂えど~
第7章 婚礼
祝言用の料理が手直しされ、
通夜の膳と早替わりした。
お民が死んだ一報を聞いてから
策ノ進は起きることができずに床に伏せていた。
お民の両親がお堂に訪れ、
「申し訳ない」と土下座を繰り返した。
与作と二つ並んだ死体から
村では二人は恋仲で
策ノ進との婚姻を悲観しての心中だと噂された。
「お民をあんなふしだらな娘に
育てたつもりはなかったのですが…
先生様にはなんと詫びて良いやら…」
そんな言葉を聞きながら、
お民の死は事故に違いないと
策ノ進は心の中で呟いた。
つい二日前まで祝言が待ち遠しいと
一組の布団の中で
体を温め合いながら愛を確かめ合ったのだ。
心中などするわけがない…